よもぎの香りと、小さな知恵

よもぎ畑

先日、よもぎの試験栽培をしている北杜市(白州や八ヶ岳近く)農場へ子どもたちを連れて行った。見渡す限り青々と茂るよもぎたち。ほんの少しの苗から分け、ここまで元気に育ってくれている。
一枚葉をもぎ取り、そっと匂いを嗅いでみる。あの深く落ち着く香りが、ふわりと鼻腔をくすぐった。

北杜市 南アルプスの水で育ったよもぎたち
北杜市 南アルプスの水で育ったよもぎたち。奥に生えてるかわいいピンクの花たちも、雑草である

都会では見慣れない豊かな緑に目を輝かせていた子どもたちだが、すぐに蚊に集られ始めた。「かゆい!」「やだー!」と騒ぐ彼らに、私はそっと声をかけた。「この葉っぱをよく揉んで、肌にこすりつけてごらん」

言われた通りに試した子どもたちは、「わあ!うちのお茶の匂いがする!」と喜びながらよもぎの香りに包まれた。するとどうだろう。今まであれほどたかっていた蚊たちがまるで示し合わせたかのように一斉にいなくなる。
強制的に「いなくなれ!」と殺虫剤を撒くのも簡単だけれど、どこか心苦しい気持ちになる。こうして、蚊たちが「ここにはいたくない」と、自ら去っていくくらいがちょうどいい。ほんの少しの知恵で、自然とのバランスが取れることにいつも小さな感動を覚える。

草刈りの季節になると、地域の方々が病害虫予防や景観のために暑い中で懸命に作業をしてくれている。その姿を見るたびに、倒れないように気をつけて!と思いつつ、ただ「雑草、いなくなれ!」と排除するのではなくもう少し別の方法はないものか、と考える。グランドカバープランツを利用したり、植物の競争原理を上手く使ってなんとか自然と共存できないだろうか。でもむやみに外来種を植えまくることにも違和感を覚えるし、どこまで自然に手を加えるべきなのか。大自然を見渡しながら、そんなことをぐるぐると考えてしまう。

今、普段は東京の真ん中で暮らしているけれど、こうして大自然に戻り無邪気にはしゃぐ子どもたちの笑顔は、やはりいつもとは違う。何かに満たされているような、そんな澄んだ表情を見せてくれる。きっと、自然は、私たちにたくさんのことを教えてくれているのだと思う。

よもぎの後は楽しいじゃがいも掘り。暑かったー

今日は猫はお留守番。