イライラ・落ち込み…ストレスに効く食生活のヒント

ストレスイメージ

近年、仕事や人間関係の変化により、慢性的なストレスを抱える人が急増しています。運動や睡眠も大切ですが、実は毎日の食事こそが、最も手軽で効果的なストレス対策の鍵となります。

この記事では、「食べることで心がラクになる」メカニズムから、今日から始められる具体的な食習慣まで、栄養学的な観点から効果が確認されているストレス軽減法をご紹介します。

布袋農園 運営責任者 稲葉 浩太

執筆者:
布袋農園 運営責任者 稲葉 浩太
野草茶・ハーブティー・薬膳茶を研究し、美味しく健康効果の高いお茶を求め日本各地を訪ねている専門家。
腸内細菌の遺伝子検査によるアドザイザーも行っており、「健康は腸から、腸は食物繊維から、食物繊維はお茶から」が口癖。

パーソナル薬膳茶マイスター、パーソナルヘルス協会認定パーソナル腸活コーチ、経営学修士

なぜ食べ物でストレスをケアできるの?

ストレス対策と聞くと、運動や睡眠、リラクゼーションを思い浮かべる方が多いかもしれませんが、実は「食べ物」でもストレスを和らげることができます。
その理由は、特定の栄養素が脳内ホルモンや神経伝達物質に直接作用するためです。さらに、体の機能を整えることで、自律神経のバランスもサポートしてくれます。

脳内ホルモンとの深い関係

ストレスを感じると、脳内では以下のような変化が起こります。

・コルチゾール(ストレスホルモンが過剰分泌される
・セロトニン(幸せホルモン)の分泌が減少する
・ドーパミン(やる気ホルモン)が不足する

これらのホルモンバランスの乱れが、イライラや落ち込み、不安感を引き起こします。しかし、特定の栄養素を含む食品を摂取することで、ホルモンの生成をサポートし、精神状態を安定させることができるのです。

注目の「腸脳相関」とは?

近年の研究で明らかになった「腸脳相関」は、腸と脳が迷走神経などを通じて密接にコミュニケーションを取っている現象です。腸内環境が整うと

・腸内でセロトニンが生成される(体内セロトニンの約90%は腸で作られる)
・善玉菌が神経伝達物質の産生を促進する
・炎症が抑制され、ストレス耐性が向上する

つまり、腸を整える食事こそが、心の安定への近道となります。

ストレス軽減に効果的な栄養素とは?

ストレス軽減に効果的な栄養素として、セロトニン生成を助けるトリプトファンが挙げられます。

セロトニンを増やす「トリプトファン」

トリプトファンは必須アミノ酸のひとつで、心の安定に関わる「セロトニン」の材料となる重要な栄養素です。セロトニンには気分を落ち着かせ、不安を和らげる働きがあります。

豊富な食材:鶏肉、魚、大豆製品、ナッツ、乳製品が挙げられます。

効果アップのコツ:ビタミンB群と一緒に摂取することで、セロトニン合成がさらに促進されます

推奨摂取タイミング:夜寝る前に摂ると、リラックス効果が高まり質の良い睡眠につながります

神経を落ち着かせる「GABA」や「マグネシウム」

GABAは脳内の神経活動を制御し、神経を落ち着かせてストレスを緩和します。マグネシウムは筋肉の緊張を和らげ、神経系の安定を保ちます。ストレス時には体内のマグネシウムが消耗されやすいため、積極的な補給が重要です。

GABAが豊富な食材: 発酵食品、トマト、ヨーグルト

マグネシウムが豊富な食材: 緑黄色野菜、ナッツ類、全粒穀物(特にほうれん草、アーモンド)

ストレス耐性を高める「ビタミンB群」

ビタミンB群は体のエネルギー代謝や神経の健康に関わり、ストレスへの抵抗力を高めて疲労回復を助けます。不足すると疲れやすくなったり、イライラが増すことがあります。

特に重要なもの
・B6:神経伝達物質の合成に関与し、精神の安定に寄与
・B12:神経系を正常に保つために重要
豊富な食材:魚、肉類、卵、乳製品、豆類、全粒穀物

今日から取り入れたい!ストレス軽減に効く食べ物

ストレス軽減に効果的な食べ物は、日常生活に簡単に組み込むことができます。

緑黄色野菜とビタミンC

緑黄色野菜はビタミンCを豊富に含み、ストレス軽減に効果的です。ビタミンCは抗酸化作用があり、ストレスホルモンのコルチゾールを減らす働きがあります。ピーマンやほうれん草、ブロッコリーなどを定期的に摂ることで、心身の健康をサポート。彩り豊かな緑黄色野菜は食事を楽しくし、サラダやスムージーにして手軽に取り入れられます。ビタミンCは加熱で減りやすいため、生で食べるのが効果的です。さらに、ビタミンCは肌の健康維持にも役立ち、美容面でもうれしい効果があります。毎日の食事に積極的に取り入れ、内側から健康と美しさを手に入れましょう。

ナッツ類とオメガ3脂肪酸

ナッツ類はオメガ3脂肪酸を豊富に含み、ストレス軽減に効果的です。オメガ3脂肪酸は脳の健康を支え、気分の安定に役立ちます。特にクルミやアーモンドは手軽に食べられ、1日20〜30g程度(手のひら一握り分)の摂取がおすすめです。ナッツは高カロリーなので1日20〜30g程度の適量を守り、無塩・無糖のものを選ぶとより健康的です。さらに、良質なタンパク質も含むため、体の修復や総合的な健康管理にも貢献します。オメガ3脂肪酸は体内で作れない必須脂肪酸なので、ナッツを積極的に取り入れてストレス対策をしましょう。

発酵食品と腸内環境の改善

発酵食品は腸内環境を整え、ストレス軽減に効果的です。ヨーグルトやキムチ、納豆などに含まれる善玉菌が腸内フローラを改善し、脳と腸の相互作用「腸脳相関」を良好にします。例えば、朝食にヨーグルトを取り入れたり、キムチや納豆を副菜として加えるだけで簡単に習慣化可能です。さらに、発酵食品には神経の働きを助けるビタミンB群も含まれており、気分の安定に寄与します。毎日の継続摂取で健康な腸内環境を保ち、心身の健康を支えましょう。

ストレス軽減にはこのお茶!

ストレス対策に一番オススメなのがよもぎ茶!ビタミンB群も豊富であり、幸せホルモンを作る腸内環境を整える水溶性・不溶性の療法の食物繊維が豊富です。

さらに、よもぎの爽やかな香り成分であるシネオールは副交感神経優位にしてくれるリラックスアロマです。
仕事やスマホなどから受けるストレスで交感神経が刺激されてしまいますので、寝る前などリラックスしたい時に副交感神経優位にしてあげることでぐっすり眠られるようになります。

ノンカフェインです。

避けたい!ストレスを悪化させる食べ物とは?

ストレス対策として避けたい食べ物について説明します。

糖質過多・カフェインの摂りすぎに注意

糖質の過剰摂取は血糖値の急激な変動を招き、精神的なストレスを増幅させることがあります。糖分を多く摂ると一時的にエネルギーが上がるものの、その後の急激な血糖値の下降によりイライラや不安感が強まることもあるため注意が必要です。また、カフェインは集中力アップや疲労軽減に役立ちますが、過剰摂取はストレスホルモンのコルチゾール分泌を促し、かえってストレスを悪化させる恐れがあります。さらに、カフェインは神経を過剰に刺激し、睡眠障害を引き起こす場合もあるため、十分な睡眠を妨げ、ストレス増加に繋がることもあります。特にコーヒーやエナジードリンク、甘いお菓子に含まれるカフェインの摂りすぎには注意しましょう。適量を守り、バランスの良い食生活を心掛けることが大切です。

加工食品や脂質の多い食事が心に与える影響

加工食品や脂質の多い食事は、ストレスを増加させる可能性があります。加工食品には添加物や人工甘味料が多く含まれ、これらが体内で炎症を引き起こし、ストレス反応を強める原因となります。例えば、精製糖やトランス脂肪酸を含むスナック菓子や冷凍食品の摂取は控えましょう。また、高脂肪食品は消化に時間がかかり、腸内環境を乱しやすいため、腸脳相関を通じてメンタル面にも悪影響を及ぼします。揚げ物やファーストフードは摂取を制限し、新鮮な野菜や果物、魚など健康的な食材に切り替えることで、心身のバランス維持に役立ちます。

忙しくてもできる!ストレス軽減食の取り入れ方

忙しい日々でも、ストレス軽減に効果的な食材を取り入れる方法はあります。まずは簡単に準備できる食材を選び、バランスよく食事に組み込むことが大切です。

朝食でセロトニンを活性化するコツ

朝食でセロトニンを活性化するには、トリプトファン・ビタミンB群・炭水化物のバランスがカギです。バナナ、卵、チーズ、ヨーグルトといったトリプトファン豊富な食品に、玄米や全粒パンなどの炭水化物を組み合わせると、セロトニンの生成がスムーズになります。加えて、ナッツや納豆、豆類などでビタミンB群を補えば、脳内のセロトニン合成をより効果的にサポートできます。

忙しい朝でも、バナナとヨーグルト、ゆで卵、玄米おにぎりなどで手軽に整えられます。また、「おやつ」も見直しポイント。甘い菓子をナッツや高カカオチョコに替えるだけでも、血糖値の急変動を防ぎ、穏やかな気分を保ちやすくなります。日々の食習慣の工夫で、ストレスに負けない心の土台を整えましょう。

おやつを見直すだけでも変わる

おやつは気分転換にぴったりな時間。
でも、選び方をちょっと工夫するだけで、ストレスケアにもつながります。
・ナッツ:オメガ3脂肪酸やマグネシウムが豊富で、神経を落ち着かせる効果。
・果物:自然な甘さとビタミンで、気分をやさしくリフレッシュ。
・ヨーグルトやチーズ:発酵食品は腸内環境を整え、心の健康にも◎。

スナック菓子の代わりに、体にやさしいおやつを取り入れるだけで、心も少し軽くなるかもしれません。

買い物・常備食材の選び方ポイント

ストレスの少ない生活を目指すには、日々の食材選びがカギ。
買い物時は、以下のポイントを意識しましょう。
・鮮度の高い食材を選ぶ
 新鮮な野菜や果物は、ビタミンやミネラルが豊富で栄養価も高め。
・ストレスに効く栄養素を意識
 心を落ち着かせるカルシウム・マグネシウム
 脳の働きを整えるオメガ3脂肪酸(魚・ナッツ類)は特におすすめ。
・発酵食品を取り入れる
 腸内環境が整うと、気分も安定しやすくなります。

これらを常備食材として日常的に取り入れることで、体の内側からストレスに強い自分をつくれます。

ストレス軽減のポイントと生活習慣

ストレスを軽減するための日常生活習慣の見直しは重要です。

質の高い睡眠の重要性

ストレスに負けないためには、質の高い睡眠を確保することが重要です。
睡眠は、心と体をリセットするための時間。十分な休息を取ることで、脳のストレス耐性が高まり、日中のイライラも軽減されます。さらに、眠っている間には「メラトニン」というホルモンが分泌され、自律神経のバランスが整って、心も自然と落ち着いていきます。

質のよい睡眠をとるためには、寝る前の過ごし方がカギになります。たとえば、スマホやパソコンの使用を控えたり、部屋を暗く静かな環境に整えたりするだけでも、眠りやすさが変わってきます。ハーブティーをゆっくり飲んだり、ストレッチをして体をゆるめたり、深呼吸や軽い瞑想を取り入れるのもおすすめです。

また、食事からのサポートも見逃せません。カルシウムやマグネシウムといった栄養素は、リラックスを助けてくれる存在。トリプトファンというアミノ酸は、気持ちを落ち着けるセロトニンの材料になり、眠りにも良い影響を与えてくれます。ちょっとした工夫で、睡眠の質はぐんと変わり、ストレスにも負けにくくなっていきます。

軽い運動とリラックス方法

ストレスをやわらげる方法として、軽い運動を取り入れるのも効果的です。
たとえば、外を少し歩いたり、ストレッチやヨガで体をほぐしたり。無理のない範囲で体を動かすだけで、心が軽やかになる効果があります。これは、体内で「セロトニン」や「エンドルフィン」といった、心を前向きにしてくれるホルモンが分泌されるから。運動のあとに感じる、あのスッキリ感にもつながっています。

また、心を静かに整える時間をつくることも、ストレスケアにはとても大切です。深呼吸や瞑想は、数分だけでも気持ちをリセットするのに役立ちます。忙しい日でも、少し目を閉じて呼吸に意識を向けるだけで、心が静かに落ち着いていく効果を実感できます。

さらに、アロマの力を借りてみるのもおすすめです。ラベンダーやカモミールなどの香りにはリラックス効果があり、お風呂に入れたり、寝る前に香らせたりするだけで、気分がやさしく整っていきます。こうした時間が日々の中にあるだけで、ストレスの感じ方も少しずつ変わっていくかもしれません。

ストレスに負けない食習慣を

ストレスは避けられないものですが、日々の食事でやわらげることはできます。
トリプトファンやGABA、ビタミンB群など、心を整える栄養素を意識して摂ることで、気分が安定しやすくなります。ナッツや発酵食品、緑黄色野菜なども、心と体にやさしい食材です。

反対に、糖質やカフェインの摂りすぎ、脂っこい食事はストレスを悪化させる原因に。
質のよい睡眠や軽い運動とあわせて、バランスの取れた食生活を心がけることが、心身の安定につながります。

難しく考えず、できることから少しずつ。
「食べものの力」を味方につけて、ストレスに振り回されない日々を目指しましょう。

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