今年も、しとしとと梅雨の足音が聞こえてきました。雨粒が葉を濡らし、しっとりとした空気が部屋の中まで入り込んできます。この時期、何よりも目を奪われるのは、ぐんぐんと背を伸ばす草たちの生命力です。あっという間に庭を覆い尽くすほどの勢いで、彼らは自らの生を謳歌しています。
「薬」という文字は、草冠に「楽」と書くことを思い出しました。まるで、草を楽しむことが、私たちにとっての薬になるのだと教えてくれているようです。この時期、雨の恵みを受けて力強く育つ草たちを見ていると、本当にその通りだなと感じます。彼らは、私たちに多くの恵みを与えてくれるだけでなく、そこに存在するだけで心まで穏やかにしてくれる。
これから、本格的な夏がやってきます。そしてその先には、色彩豊かな秋が控えている。
私たちがまだ夏の計画を立てている頃、植物たちはもう次なる季節、秋に向けて着々と準備を進めているのだそうです。目には見えないけれど、彼らの体内ではすでに秋の支度や冬を越えるための支度が始まっている。自然の営みはなんて律儀で、なんて計画的なのでしょう。
私たち人間も、彼らのように少し先の季節を見据えて体を整えていくのもいいのかもしれません。
夏バテしないように、秋の体調を崩さないように。特別なことではなく、日々の小さな習慣。一杯の温かいお茶だったり、心地よい香りのアロマだったり。
梅雨のしっとりとした空気の中で、草たちの力強い生命力に触れ、未来への準備を始める彼らから学ぶ。草を見つめながらそんな時間を持つことが、私たち自身の心と体を、より健やかにそしてやわらかに導いてくれるような気がします。